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支援事業

事例紹介:カフェコモンズ ( 2016.12.12更新 )

NPO法人 日本スローワーク協会
カフェコモンズ
(高槻市)

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■事業所概要

book1_2579_image001※表をクリックするとカフェコモンズのホームページが開きます。

今回ご紹介する“カフェコモンズ”さんは、阪急電車の富田駅を降りてすぐのところにあります。商店街の入り口の路地を少し入るとカフェのある雑居ビルの入り口があり、カフェコモンズの小さな看板が見つかります。そこから階段で二階へあがり、さらにエレベーターで五階に昇るとカフェの入り口に着きます。店内に入るとオープンキッチンにテーブル席を中心としたつくりになっています。眺望もよく、大きなガラス窓からは採光もたっぷりあって、とても健康的でゆったりとしたイメージに仕上げられています。

%e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7_02 引きこもりと言われている人たちの働く場として
カフェコモンズさんを運営されているのは、NPO法人日本スローワーク協会さんです。まだニートという言葉も定着していなかった頃から、引きこもりの状態にある若い人たちを支援することを目的に、家庭訪問や外に出ることを促す活動をされていました。その中で若い人たちが働くことが経験できる「新しい働きの場所」づくりとして2004年にカフェコモンズが誕生しました。コモンズ(COMMONS)は「共有地」という意味があり、社会をよい方向に替えていきたいと思う人やモノづくりに携わる人、芸術に関わる人、さまざまな価値観を持った人が集まるところとして位置付けられていて、飲食にとどまらず、イベントやワークショップなども行われる場としてさまざまなアイディアや人が関わってつくられました。しかし、カフェ自体は、どこからの援助もない一般の店舗と同じ形でスタートしたので経営はかなり難しかったということです。
カフェがオープンして翌年、地域にある精神科の病院から声がかかりました。病院内にある喫茶と売店の運営をやってもらえないかということでした。ここから病院内の喫茶と売店の運営も事業として取り組まれるようになりました。精神障がい者といわれている人たちとのおつきあいが深まり、働く立場としてかかわってもらうようになりました。そこから福祉事業に乗り出そうということになり、カフェコモンズは、2006年にカフェと病院内の喫茶、売店の運営を行う就労継続支援A型の事業所になりました。

現在、カフェコモンズさんの事業所の利用者は平均20人ほどだそうです。週に3日または4日通われる方が多いとのことで、働く時間も二交替性になっていてフルタイムの方はほとんどいないということです。しかし、働き方としては短時間労働が基本になることから、昨年度からB型に指定を変更されました。現在は就労継続支援B型事業所として活動をされています。

%e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7_03 コミュニティカフェとして
さて、カフェのメニューは自慢の“石窯”で調理した日替わりのランチやパスタ、軽食やデザートがあります。ランチの素材にも、茨木市内の農園から取り寄せている季節感たっぷりの野菜やお米も地元の天日干し米を使用するなどこだわりがあります。石窯は遠赤外線効果もあって通常のオーブンとは違う活用法があるということで、料理の和洋を問わず活躍しています。
中でも石窯パウンドケーキは人気商品のひとつです。カフェの運営と並行してパウンドケーキで焼いていますが、味覚も多様でどれにしようか選ぶ人の心を楽しませてくれます。カフェだけでなく地域の他事業所や共同販売店、病院のデイケアなどでも販売しています。安くておいしいとの評判なのでもっと売り先が拡げていきたいと考えておられます。
また、お客さんを待っているだけではということで、場所の活用も積極的に行われています。フラワーアレンジメントやゴスペルの教室や土日にはさまざまなカフェや勉強会等の企画に使用されています。模様替えも好きなように行えることやプロジェクターが使えるなど自由度が高い利用ができることでこちらも大変好評です。飲み物や軽食を頼んでいただくことでそういった利用ができるということで、お仕事づくりにもつながっています。

%e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7_01 %e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7_04 社会的事業所を目指して
とはいえ、カフェの来客は日によって違いが大きいのが悩むところです。また、病院の売店や喫茶も病院自体の利用が減少していることもあって伸び悩んでいるところがあります。売り上げを伸ばしていくために職員さん向けのお弁当づくりでもはじめようかとも考えますが、設備の問題などもあって結論には至っていません。

一方で、法人としては、福祉の枠にとどまらず、もっと独自の事業を展開したり、社会的事業所に展望を見出そうと考えられています。そのひとつが、“コモンズ・ハート”の取り組みです。これは引っ越しや不用品整理などを行うサービスで、高齢者や単身の障がい者など一般の業者を利用しにくい方にむけた日常生活の支援です。スタッフに福祉や介護の経験者を有しており、民間企業では目の届かないところや料金の支払い方まで丁寧な対応を心がけておられます。大型ごみの搬出など福祉のヘルパーなどでは対応できないことを、こうした事業によって解決し、また同時に福祉のヘルパーさんやケースワーカーさん等の関係者との連携も意識して、より住みやすい地域社会を目指しておられます。
コモンズ・ハートの売り上げがカフェの売り上げに直結しているわけではありませんが、そのチラシにはカフェの紹介も掲載されています。この取り組みが広がる中で新しいつながりが生まれていくのだろうと思われます。福祉事業にのみ完結するのではなく、地域社会の課題解決に着目した取り組みは今後さらに注目されます。
 

%e3%82%b3%e3%83%a2%e3%83%b3%e3%82%ba%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7_05(サービス管理責任者の疋田さん)

 

■先進事例の紹介バックナンバー
http://l-challe.com/kouchin/projects/archives/957

 

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