支援事業
●3:新しい取り組み
事例紹介:ワークメイト聖徳園(2016.6.27更新)
社会福祉法人聖徳園 ワークメイト聖徳園(河内長野市)
今回は河内長野市にある『ワークメイト聖徳園』さんをご紹介します。
ワークメイト聖徳園さんはⅠ(就労継続支援B型:定員60人)とⅡ(就労移行支援:定員20人)があり、同じ敷地内で活動をされています。朝9時から夕方5時まで組立作業や園芸などさまざまなお仕事をされています。
ワークメイト聖徳園さんで、最も売上が大きい仕事はプラスチック製品の射出成形で、100均ショップで販売される日用雑貨品を製造しています。施設内には成形機が4台あり、フル稼働しています。成形機でつくられた部品は利用者さんの手で組み立てられ、シール貼りや袋詰めの工程を経て、製品となってメーカーに納品されます。メーカーとの関係は長く、常に適正な在庫を把握するなど生産管理をしておられます。
一方で、製造ロスを減らすことは課題です。異物が混入しないように製造過程を点検するなどに努められています。しかし、最近では原料となるプラスチックの質が変わってきていることが不良の発生につながることがあるそうで、100円商品という売価が低い製品を扱う上では仕方がないのかもしれませんが、製造者にとっては頭の痛い問題です。
また、組立作業においては、利用者の高齢化や製品の構造の複雑化など生産性の課題も出ているそうです。たくさんの利用者がかかわっている作業でもあり、ミス・ロスの発生を極力回避するように治具製作など工夫をしながら取り組まれています。
また、加工作業としては、製袋作業にも取り組まれています。電化製品や家具などの梱包、家庭用ゴミなどに使用するビニール製の袋を裁断、折りたたんで梱包して取引先に納入します。もっと納入先が増えればと考えておられます。
また、施設の入り口には喫茶店があり、そこでクッキーやマドレーヌ、ケーキ等の製造販売に取り組んでいます。お菓子はこだわりの素材と無添加がウリで、お客様にとても好評だそうです。お店での販売の他にも、法人内の事業所や地域のバザーなどでも販売されています。市役所の喫茶にもケーキを卸しておられたり、注文をいただければギフト用にパッケージして買っていただくこともできます。
最近では地域の食材とのコラボレーションも検討されているなど新たな商品開発にも積極的に取り組んでおられます。
花や観葉植物の栽培をするお仕事は注目です。河内長野市の事業所内と泉南市の“かるがもの里”にある農地で作業をされています。かるがもの里の農地には約1,000平米の温室があり、たくさんの植物が栽培できるようになっています。
草花の栽培は、土づくりから種まき、施肥、潅水等を行っています。成長した苗は、ポット苗として施設での即売や花市場に卸しています。花市場に卸されたものはホームセンターなどで販売されています。
また、一般企業からの受注として、サントリーミドリエ株式会社さんにパフカルを使用した観葉植物等を納品しています。パフカルはサントリーミドリエさんが開発した水や空気をバランスよく保持するウレタンの新素材で土の代わりとなります。パフカルに植えられたアイビーなどの苗は、温室内のウォーターベッドで栽培され、納品された後は企業のビルや店舗などの“壁面緑化”に利用されます。この代表的な商品としてミドリエさんの『フレーム』と呼ばれるものがあります。フレーム(枠)の内側に観葉植物がアレンジされているのですが、素材が軽量のため壁にかけて楽しむことが可能というものです。こうした製品づくりにもワークメイト聖徳園さんの利用者さんが関わられています。
職員さんに、こうしたお仕事を企業が障がい者施設に発注することについて何かメリットがあるのでしょうかとお尋ねしたところ、栽培技術だけではなくデータ管理ができるというところが評価されていますということでした。企業側から求められるところは商品の品質だけにあらずということでしょうか。いずれにしてもワークメイト聖徳園さんのチカラを企業側もよく評価されているということだと思われます。
ワークメイト聖徳園さんの平均工賃は月額で約2万円です。将来的に、やはり1円でも多く利用者さんに渡せるように取り組んでいきたいということでした。今回訪問をさせていただいて、かなり設備にも投資されていますが、「原材料」を「製品」にするまで一貫した工程を担うことができるチカラをもっていらっしゃることが強みだなと感じました。それゆえ、企業さんとの信頼関係があり、高い工賃を維持しておられることにつながっているのではと思います。
(森脇さん・清水さん)
■先進事例の紹介バックナンバー
http://l-challe.com/kouchin/projects/archives/957
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