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支援事業

むつみ工房(2016.02.22更新)


 

特定非営利活動法人精神障害者支援の会ヒット

むつみ工房(大阪市天王寺区)


 

■事業所概要

 

むつみ工房さんは大阪市天王寺区にある就労継続支援B型事業所です。
1994年に作業所を開所され、2009年からB型事業所として運営されています。現在、事業所を利用される方は25人、一日あたりの平均利用者数は12~13人くらいで、全員がお弁当のお仕事をされています。 お仕事の流れとしては、朝9時半のミーテイングからはじまり、お弁当の盛り付けをして、お昼前には店頭販売や配達を行います。その後、翌日の調理の準備をしてその日の仕事が終わります。また、お弁当づくりで重要なメニューづくりは、まず調理担当の職員さんが一週間のメニューを考えられて利用者のみなさんと話し合いながら決めていくそうです。季節感を考えたり、原価のことがちょっと気になったり、メニューづくりの話し合いも大事なお仕事になっています。人気のおかずはから揚げにハンバーグ、スコッチエッグなど。あまり凝ったものにするよりシンプルな方がお客様に受け入れられやすいそうです。

 

■お客様の声を聴いて取り入れること

むつみ工房さんがお弁当づくりをはじめられたのは2002年に小規模作業所になった時で、それまでのお仕事は内職仕事でした。 お弁当づくりをはじめられた理由は、内職以外の仕事にチャレンジしてみたいとの思いからでした。何かおもしろい仕事がしたいということでお弁当づくりをやろうということになったそうです。特にお弁当づくりについてノウハウがあってということではなかったようですが、お知り合いのところから少しずつ販売をはじめられたそうです。しかし、どんなお仕事でも常に順調にいくわけではありません。むつみ工房さんも、お弁当の売り上げが落ちた時期があったそうです。お弁当づくりは大切なお仕事なのでどうしたら売り上げを盛り返せるのかみんなで考えました。そうして、お客様にアンケートをしてお弁当を選ぶ(買う)ときに何を重視しておられるのかを探っていこうということになりました。結果として、このアンケート活動が課題改善の方向を認識できるものになったようです。アンケートを通じてわかったことは、意外にもお客様が「ボリューム」や「見た目」を重視しているということでした。ヘルシーなものが受けるのかとも思っていましたが、そうではなかったということがわかりました。お客様にボリュームアップしたことを感じてもらうために取り組んだことは、お弁当箱をご飯とおかずのふたつにわけて販売することです。また、現場の体制も安定していたこともあり、日替わりのお弁当もメニューを二種類にして、「ボリューム」を増やすこととともに「選べる」ということもできるようにしました。

 

ちなみに取材当日のメニューは、“豚の生姜焼き”に“鳥のミンチカツ”のお弁当でした。副菜もたっぷりあってどちらもとてもおいしそうなお弁当でした。ただ、ボリュームを増やすということは材料費がこれまで以上にかかるということになります。食材だけでなく、お弁当の容器を変更するのでコストも今まで以上に大きくなります。ちょうど消費税が8%に上がったこともあり、仕入れ値のコントロールも悩みの種でした。そこで決めたことは、思い切ってお弁当の値段をあげるということです。それまで430円だったお弁当を500円にすることにしました。値上げしたことでお客様の反応もちょっと心配でしたが、お弁当のボリュームを増やしたり、選べるようになったことなど積極的な改善を評価していただき、売り上げは回復していきました。

 

 

■「就職のできるB型事業所」であること

お弁当自体の改善は行いましたが、売上を上げていくためにはやはり販路拡大が欠かせません。これまでの販路は、事業所での店頭販売やお得意先への配達などでしたが、新たに天王寺区役所前(毎日販売)、天王寺動物園(春秋など季節のよい時)でも販売するようになりました。そんなこともあり、現在の一日のお弁当の販売数は平均して60~70食、工賃時給は300円になりました。将来的には、あくまで当事者がつくったものを売るということを大切にしながら、一日130食以上、工賃時給も500円くらいになれば利用者さんも満足できるのではと考えておられます。そのためにはさらなる販路拡大が課題であるといえます。

 

もうひとつ今回の取材をさせていただく中で興味深かったことは、むつみ工房さんでは毎年3~5人程度の一般就労を実現されているということでした。就労先は飲食業だけでなく、製造や清掃など様々。積極的に就労をすすめられているということについては、「就職のできるB型事業所」でありたいということからです。そのため、現場では熟練の人が他の人に仕事を教えることが定着していて、誰かが抜けてもお 仕事自体が大変にならないような仕組みになっています。熟練の利用者さんが抜けると生産力が落ちてしまうというお悩みはよく聞かせていただくのですが、むつみ工房さんではそんなことはない状況があるようです。なにより、利用者さんたちが就職して、社会に出て、もっといきいきできるようになっていただきたいと考えて取り組んでおられます。

(管理者 川上さん)

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