支援事業
●3:新しい取り組み
ポンチセぴりか ( 2015.10.9更新 )
地域とのつながりで安定的な仕事を確保
~さらなる工賃アップを目指す
社会福祉法人つむぎ福祉会ポンチセぴりか(大阪市東住吉区)
■事業所概要
■自分の家族に食べさせたいパンづくり~パン工房エピ
利用者さんのお仕事がはじまるのは朝8時半です。 お仕事のはじめには一階にあるホワイトボードで、今日一日の「自分の仕事」の流れを確認します。パン工房でつくられるパンは、 注文の状況で変動するそうですが、多い日で一日400~500個焼き上げることがあります。種類は、食パンの他に菓子パンや総菜パンが16種ほどで、クッキーなどの焼菓子も好評です。パンの品数を増やすことに追われて支援がおろそかにならないようにと考えています。その代り、おすすめ商品を月替わりで提供することでお客様を飽きさせないように工夫されています。販路としてはお昼時のスポット販売の他、地域の保育園の給食としても提供しています。また、事業所にイートインができる販売スペースもあり、地域の馴染みの方やスポット販売で知った方などが買いに来られます。スーパーマーケットとは違うものを求められる傾向があるようです。
今回、訪問をさせていただいた午前中は、二階の工房でパンの成形を、一階でお昼の販売の準備をされていました。利用者さんも職員さんも協力してパンの製造販売に取り組まれています。
■受注作業で工賃アップ
ポンチセぴりかさんのお仕事のもう一つの柱は企業からの受注作業です。近隣の中小企業さんや八尾市、堺市の企業さんからの受注になります。金属製の部品の組み立てや袋詰めなどが中心で、比較的長期のお仕事が多いようです。作業現場を見せていただくと、利用者さんが作業に取り組みやすくなるようなさまざまな工夫がなされていることがわかります。作業工程の分解や治具の活用はもちろんですが、一日のスケジュールで取り組む仕事をローテーションをしたり、時には職場のレイアウトも変えるなどして仕事にメリハリをつけるようにされています。その上で、生産目標を設定して意欲的に取り組めるようにすることや、少しずつ新しいことにチャレンジしながら作業能力の向上にもつなげるということにも取り組んでおられます。
また、お仕事の確保についても、職員さんが先の予定を見通しながら企業さんとの連絡を密にとってお仕事の調整をしているので、できない仕事を引き受けたり、手待ちになってしまったりすることはないということでした。このような取り組みを積み重ねたことで、受注作業の売り上げが伸びています。
■企業の一部を担うということ
現在、取材をさせていただいた中で、ポンチセぴりかさんと八尾市の企業さんとの関係性がよくわかる作業がありました。それは金属部品を塗装する準備段階のお仕事なのですが、たくさん穴の開いた畳一畳ほどの大きなボードに金属部品をすべてはめ込み、そのまま納品します。企業ではボードから露出した部分を塗装するのですが、受注作業というのは、企業からの発注に対してある程度製品化したものを納品することがほとんどで、こういった作業工程の一部を切り出して事業所で請け負うというものはめずらしいのではないでしょうか。おそらく、こういった作業に人手をかけるのは企業にとっては非常に手間なことなのだろうと思われます。そういった作業部分を地域の事業所さんが担うということは、まさに企業の一部として存在しておられるということなのです。
■私たちの工賃向上計画
ポンチセぴりかさんでは、福祉的就労として月額3万円~5万円の工賃を払えるようになりたいと考えておられます。昨年度の実績は月額2万円弱、これからの工賃アップのための取り組みを管理者の中谷さんにお伺いしました。利用者さんの『できることを増やす』ことが大事だと思います。職員にしかできない仕事を減らして、利用者さんが分担できることが増えればそれによって職員が販売や営業などもっと他のことにも動けるようになります。そのために工程を見直したり、作業内容や予定の「見える化」に取り組んできました。その人しかできない仕事にしてもいけないので業務のマニュアル化もすすめているところです。ポンチセぴりかさんでは、今後、新しい季節商品の展開や地域の企業さんとの連携をさらに強化することで売り上げの向上を目指しておられますが、今回の取材を通じて、「生産管理」「工程の工夫」「見える化」「利用者の作業能力の向上」等の点が実にうまく取り入れられていることがわかりました。新しい取引先や販路の拡大は売り上げの向上には欠かせないものですが、その前提として作業環境の改善や企業さんとの信頼関係の構築が大きな武器になることは間違いありません。
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