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支援事業

事例紹介:茨木市立障害者就労支援センターかしの木園(2018.12.5更新)

社会福祉法人ぽぽんがぽん
茨木市立障害者就労支援センターかしの木園
(茨木市)

かしの木園_31_up ■事業所概要 *文末<おことわり>参照
事業所名  茨木市立障害者就労支援センターかしの木園
法人名  社会福祉法人 ぽぽんがぽん
所在地  大阪府茨木市春日一丁目15番22号
電話番号  072-626-5910
事業種別(定員)  就労継続支援B型(30人)
事業指定日  2018年4月1日
事業内容  内職、自主製品、清掃 等
29年度平均工賃月額  13,203円
ホームページ  

通所するほど赤字になるなんて

茨木市立障害者就労支援センターかしの木園は、昭和57年4月に開所した茨木市立かしの木園が、平成25年度から指定管理者制度により特定非営利活動法人いばらき自立支援センター(現・社会福祉法人ぽぽんがぽん)の運営となっています。施設はJR茨木駅から歩いて10分弱の立地で、就労継続支援B型事業には毎日20人ほどの利用者の方が自力で通所されています。現在の主なお仕事は、内職作業、自主製品の製作、清掃やアルミ缶のリサイクルなどです。
施設は、平成25年4月に指定管理者制度に移行しましたが、利用者さんへの影響も考慮して直営時代と同じ活動を引き継ぐことになりました。そして、5月には運営移行して最初の工賃が支払われましたが、その月の平均支払額が3,675円。毎日休まずに通ってもこれだけなの?と思う金額だったと言います。施設を利用する上での毎日の給食費や交通費の負担、園外活動の費用などを差し引くとマイナスになってしまします。「この状況を何とかしないといけない」と、かしの木園さんの工賃向上の取り組みがはじまりました。

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人のつながりからひろがるお仕事
工賃をあげていくためにはまず職員間の課題共有からでした。当時は職員自身が利用者の工賃を知らないということがあったそうです。状況がわからなければ仕事の内容や施設の活動をよい方向に見直すこともできません。“現状を知る”という当たり前のことからはじめられました。そして工賃をあげるためには新しい仕事が必要だったので、そのことをいろんな人に話をしていきました。そうするとひとつふたつと新しい仕事に出会えるようになりました。
新たなお仕事のひとつは内職作業でした。単価はそれほどでもありませんでしたが、材料を持ってきてくれるし、いろんな工程があるのでたくさんの人が関われるという利点もあったので取り組むことにしました。他には地元のイベント会社さんとの出会いがありました。最初はイベント終了後の清掃作業をするだけでしたが、企業さんとの関係が深まるにつれ、“これもできますか”と新しい仕事も増えていきました。なにより作業の単価についてこちらの要望をよく聞いていただけたり、楽しいイベントとつながれることはとてもありがたいことでした。新しいお仕事は、職員さんや法人関係、行政、共同受注窓口などいろんなかかわりの中で拡がっていきました。

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労力はタダではない
このように新しい仕事が増えていくことによって作業の売上もあがっていきましたが、かしの木園さんの取り組みの中で注目すべきところはお仕事に対する“コスト意識”ではないかと思います。
コスト意識というとなにかモノや経費を節約して…というイメージを持つ方もあるでしょうが、大切なのは利用者さんの労力をお仕事のコストとしてきちんと作業単価や製品の価格に反映されているかということです。当然のことながら仕事をするには労力やモノ、時間などが必要となります。利用者さんの労力もタダではありません。内職作業等ではそれらをキッチリと計算して発注者と作業単価を交渉されています。もちろん障がい者だから安くしてくれるだろうというところは受けません。製品も原材料費や作業時間などを確認して本当に利益が出ているのかチェックします。ただ仕事の数を増やせばいいというのではなく、そういった意識を持つことで仕事の収益性を高め、作業工賃に反映する仕組みができておられるのだと思われます。

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目指すところ
かしの木園さんが取り組みをはじめた平成25年度の平均工賃月額は6,513円で、5年目になる平成28年度は12,796円と府内平均額を上回りました。では今後はどのくらいまで工賃向上を目指すかということについては、実際に高工賃を実現して施設に利用者さんが居続ける状態もつくりたくないとおっしゃられます。活動の目的は利用者さんが働くことを楽しいと感じ、就労意欲を高めていくことです。その結果、一般就労にすすむということもひとつの目標です。
工賃向上の取り組みをすすめる中でいろんな人とのつながりによってお仕事が増えていきましたが、働くことを通じて自分たちが地域や企業さんの役に立っていることも感じておられます。お仕事は工賃を稼ぐためだけではなく、利用者さんのやりがいになることが大切なのです。

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取材を終えて
工賃向上を目指す上での基本的な取り組み方としてよく言われることを整理しますと、①管理者(リーダー)を中心に取り組む体制がある、②明確な目標があり、関係者の間で共有されている、③方針や指示が具体的である、④結果を分析し、次の取り組みに活かす、というようなことになります。かしの木園さんの取り組みをうかがっているとこれらの点にピタリとあてはまるところが多く、実効性の高い取り組みをされていると言えます。なにより、設備投資をしたり営業活動に多大な時間を割かなくてもやるべきところはいろいろあるものだということにあらためて気づかされました。

<おことわり>
茨木市立障害者就労支援センターかしの木園は、本文中にもあるとおり市の指定管理者制度によって運営者が選定されています。社会福祉法人ぽぽんがぽんさんは令和5年3月末をもって指定管理が終了し、現在は別法人が施設を運営されています。(令和5年8月追記)

■先進事例の紹介バックナンバー
http://l-challe.com/kouchin/projects/archives/957

 

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